コンパクトカーと聞いてイメージするのは、トヨタのヤリス、日産のノート、ホンダのフィットなどではないでしょうか。
今回ご紹介する三菱 ミラージュを思い浮かべる人は少ないはず。
それもそのはずで、三菱のグローバルモデルとして海外では人気を誇りますが、日本国内での生産は低迷している様子。
ついに先日、2023年2月で日本向けの生産を終了することがアナウンスされました。
悲運のコンパクトカーとなったミラージュですが、その実力はいかに。
今回も写真とともにレビューします。
かわいいサイズながらズッシリ感漂うエクステリア。
まずはフロントから。
近年の三菱車らしく、力強いフロントフェイス (ダイナミックシールド) が特徴的です。
一方で全幅は1,665mmとコンパクトカーの中でも小柄。
駐車場スペースも余裕です。
今回試乗したグレード「G」では、フロントグリルに赤色のラインが入ります。
シルバーのボディカラー・黒いグリルと合わさると引き締まってスポーティな印象を受けます。
上位グレードの「G」にはLEDヘッドライトを装備。(ベースグレード「M」はハロゲンライト)
サイドビューを見ると、ミラージュはオーソドックスなコンパクトハッチであることがわかります。
コンパクトカー全般に言えることですが、
全長が短いためにどうしてもフロントシート優先のレイアウトになってしまいがち。
ミラージュもその例に漏れず、リアシートのドアはかなり小さくなっています。
続いてリアビュー。
リアビューは「特徴がない」という点が何よりの特徴かもしれません。
後ろから見てミラージュと判別できる人はかなりの通でしょう。
気になったのは、トランクの開閉方法。
ノブの横のボタンを使ってキーレス解錠が可能ですが、あからさまに取って付けたようなデザインになっています。
コストカットのための企業努力の一つなのかもしれませんが、個人的にはボタンはノブ内側に取り付けてほしかった…
トランクドア上部にはリアスポイラーを装備。
下から仰ぎ見るとなかなかの迫力です。
最小限だが、シンプル×スポーティなインテリア。
続いて内装を見ていきましょう。
今回試乗したのは上位グレードの「G」。
ベースグレードと異なり本革ステアリングが採用されている上、
ステアリング上にオーディオ・クルーズコントロールのスイッチが装備されます。
(※ベースグレードの場合はウレタン製ステアリングで、ステアリングスイッチはなし)
この点ライバルであろうトヨタ ヤリスはベースグレードでもステアリングスイッチを装備しており、
装備の充実度でいえばヤリスに軍配が上がります。
メーターはコンパクトカーらしからぬレーシーなデザイン。
近年省略されがちなタコメーターも装備されています。
一方でメーター内ディスプレイは少々淋しげで、ゲームボーイのような液晶になっています。
情報が多すぎるのも考えものですが、2021年のクルマであればもう少し情報が欲しいかもしれません。
シフトレイアウトはピアノブラック仕上げとなっており高級感があります。
グレード「G」ではシフトノブも本革巻き仕様。
私見ですが、シフトレイアウトがジグザグ型なのも高級感の演出に一役買っている気がしています。
シフトノブの奥にはカップホルダーが2つと
アイドリング、車線逸脱警告のOn/Offスイッチがあります。
サイドブレーキは手動。
その後ろにはリアシート向けのカップホルダーが1つ。
エアコンはオートエアコンを装備。
上位グレードの「G」のみならず、ベースグレード「M」にも装備される点は嬉しいポイントです。
インテリアで気になったポイントをもう1つご紹介。
車内にドア施錠 / 解除ボタンが見当たらなかったのですが、
運転席のドアロックが全ドアの施錠 / 解除ボタンを兼ねているようでした。
合理的といえば合理的ですが、
他になかなかこうしたクルマが少ないこともあり、直感的とは言えないでしょう。
こちらはフロントシートの写真。
写真ではわかりにくいですが、上位グレード「G」だと背中部分の生地にレッドステッチが入ります。
リアシートも同様のデザインです。
肘掛けがないことを除けば、極めてオーソドックスな後部座席と言えるでしょう。
ただ1つ問題があり、リアシートのドアはこれしか開きません。
ただでさえリアシートが狭い上にドア開口部も狭いため、乗り降りはしづらいと言わざるを得ません。
ミラージュに限った話ではなく、コンパクトカーによく見られる傾向ですが、
街乗りカーとして使われることも多いはずなのでなんとか改善してほしいものです。
最後はトランク。
リアシートを使用時の容量は約175L。
ミラージュのトランクはハッチバックの割にトランクの奥行きが短く、若干物足りなさを感じてしまいました。
リアシートを倒すとこんな様子。
たくさんの買い物をした際やレジャーに使う際はリアシートを倒すことになりそうですね。
運転してみて
続いて、運転のフィーリングをお伝えします。
ミラージュの特徴は、とにかく小型・軽量であること。
全長3,855mm、全幅1,665mm、車重900kgであり、
コンパクトカーの中でもライバル車よりも一回り小さいサイズになっています。
(ちなみにトヨタ・ヤリスは全長3,940mm、全幅1,695mm、車重940〜1,180kg)
最小回転半径も4.6mと非常に取り回しがしやすく、片道1車線の道路でも余裕を持ってUターンすることができました。
一方で、車重が軽いとはいえパワー不足感は否めませんでした。
今回の試乗では高速も利用しましたが、料金所通過後の加速が少々頼りなく感じてしまいました。
アクセルを踏みこむとエンジンは唸るものの、加速が伴わないというイメージです。
そして地味に気になったのは、高速走行時の風切り音でした。
今回の試乗では高速道路を使用している時間のほうが長かったのですが、
高速走行中はなかなかの音量で飛行機内のようなノイズがします。
コストを抑えたコンパクトカーならある程度仕方のないことですが、ライバルと比較しても少々音が大きかったように感じました。
総評
今回はコンパクトカーの異端児、三菱 ミラージュに試乗しました。
評価をまとめると以下のようになります。
STRENGTH
- コンパクト車カテゴリでも優秀! 小型でとりまわしのしやすいボディサイズ
- 力強いエクステリア
- シンプルながらスポーティーなインテリア
WEAKNESS
- 不足がちなパワー
- 高速走行時の風切り音
- コンパクトすぎるリアシート&トランク
少々気になる点はあるものの、良くも悪くも尖っていて面白いクルマでした。
クラス中でも小型で取り回しのしやすいボディは使い方によっては非常に魅力的。
残念ながら日本ではすでに生産終了がアナウンスされていますが、
これからもグローバルなお買い物カーとして世界で活躍してくれることでしょう。
スペック
メーカー | 三菱 | Mitsubishi | |
モデル | ミラージュ | |
グレード | G (2021年式) | |
ボディサイズ | 全長3,855×全幅1,665×全高1,505mm | |
ホイールベース | 2,450mm | |
車両重量 | 900kg | |
エンジン | 1,192cc DOHC 3気筒エンジン | |
最高出力 | 57kW(78ps)/6,000rpm | |
最大トルク | 100Nm(10.2kgm)/4,000rpm | |
トランスミッション | CVT | |
駆動方式 | FF | |
燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
WLTC燃費 | 20.0km/L | |
トランク容量 (後部座席利用時) ※ | 175L | |
価格 (税込) | 161万7000円〜 ※すでに生産終了 |
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メーカーサイト (税込) | https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/mirage/ |
※トランク容量はVDA法
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