ほとんど古さは感じさせない。13年選手のフィアット500をレビュー。

フィアット500
以前試乗したフィアット500

イタリアを代表する名車、フィアット 500 (チンクエチェント)。
その可愛らしいエクステリアとポップなインテリアは、長年数多くの人を魅了してきました。

ところでフィアット500は、長年大きくデザインを変えていないのも特徴的。
ちょっと年式が古くても、外見上の差異は小さいように思えます。
そこで今回は13年選手 (2009年式) のチンクをお借りして、隅々までお見せします!

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ハムスターのようなかわいい顔。13年前も同じです。

フィアット500のフロント
フロント

デザインの大枠は現行モデルにも受け継がれているため、
13年前のモデルでもひと目見てチンクエチェントと認識できるのではないでしょうか。
丸いヘッドランプが今も昔も愛くるしいアイコンとなっています。

チンクエチェント (Cinquecento・イタリア語で「500」の意) の由来は、
初代と2代目のモデルが500cc前後のエンジンを搭載していたことから。
現在のこの形は3代目で、2代目チンクエチェント (正式名称は”NUOVA 500″) の発売50周年を記念して発表されました。

フィアット500のルーフ
フロントガラス上部

こちらはフロントガラス上部のイタリア国旗。
塗装ではなくデコレーションシールのようで、残念ながら色あせが目立ちます。
ただ新品のシールを貼り直すことができれば、白いボディに映えるアクセントになりそうです。
「もし自分で買って補修するとしたら…」なんてことを考えてしまいますね。

フィアット500のバック
リア

大福のようなフォルムが特徴的なリア。
ナンバープレート上部のパーツはクローム仕上げ。
可愛らしさの中にエレガントさも感じられます。

フィアット500のホイール
ホイール

ホイールは落ち着いたシルバー。
中央にはモデル名ロゴが鎮座し、シンプルながらも唯一無二のデザインになっています。

フィアット500の手動ミラー
手動ミラー

ミラーは手動式
最新のクルマと比較すると不便ですが、そもそも全幅1,625mmのコンパクトボディなので、
ミラーを折りたたまなければならない状況は少なそう。

ボディ同色パネルが印象的な内装も、現行モデルと同じ。

フィアット500のフロントシート
フロントシート

続いて内装。
チンクエチェントの内装といえば、現行モデルにも受け継がれているボディ同色パネル。
13年前のモデルにも健在でした。

試乗車のボディカラーはホワイトだったので、真っ赤なシートとパネルのコントラストが美しい。
ただしファブリック素材の赤シートは汚れが目立つかも。
もし中古車を購入する際はよく確認すべきポイントになりそうです。

フィアット500のステアリング
ステアリング


ステアリング。
ベースはベージュ色でまとめられていて、左右のグリップ部分はワインレッドになっています。

日焼けもあってか、スイッチ部分はどうしても色あせてしまっています。
これをエイジングと見るかは人それぞれですが、
ちょっとくすんだスイッチがワインレッドのグリップとよく合っているようにも見えます。

ちなみにグリップ部分はプラスチックのような硬い素材でした。

フィアット500のスピードメーター
スピードメーター&タコメーター

スピードメーターとタコメーターは同心円上に配置されています。
デザインとしては凝っていてかわいらしいのですが、針が短いため視認性は今ひとつかも。
最新モデルではこのデザインは廃止され、
中央に液晶パネル、左側にスピードメーター、右側にECOインジケーターを配置するスタイルとなりました。

フィアット500のオーディオ
ナビ&オーディオ

センターコンソールを見ていきましょう。
最上部にはエアコン吹出口とオーディオ、ハザードスイッチ類を挟んで、その下にはエアコンが配置されます。
試乗車にはナビが後付されていますが、オーディオはなかなかアナログなデザイン。
でもこのレトロさを楽しむのもアリかもしれません。

フィアット500のエアコン
エアコン

キャンディのようなハザードスイッチの下はエアコン。
ダイヤル式のマニュアルエアコンです。

最新モデルでは液晶付きのフルオートエアコンに生まれ変わっているので、ここは年式の差が現れているかも。
でも慣れてしまえば、運転中の操作のしやすさはダイヤル式に軍配が上がるかもしれません。

余談ですが、チンクエチェントのパワーウィンドウスイッチはセンターコンソールにあります。

フィアット500のシフトノブ
シフトノブ

センターコンソール最下部はシフトノブ。

この500には、デュアロジックというミッションが搭載されています。
ATですがMTのギア変速を電子制御する機構なのでクラッチ操作が必要ないMT車というイメージ。
したがって通常のAT車と異なり、以下のような特徴があります。

  • クリープ現象がない (停車時にブレーキを離しても前進しない)
  • ギアを1またはRに入れて駐車する
  • 通常のAT車と比べると変速ショックが大きめ

MT車的な要素も持ち合わせつつ、ATモード時は通常のAT車同様に快適なドライブが楽しめる仕様というわけです。

フィアット500のカップホルダー
カップホルダー

内装チェックを再開しましょう。
センターコンソール足元にはカップホルダーが2つ。
カップホルダーは浅めなので、こぼれやすい飲み物を置く際は要注意。

フィアット500のサイドブレーキ
サイドブレーキ

サイドブレーキは手動式。
華やかなダッシュボード周りに対して、サイドブレーキ周辺はシンプル。
コストダウンが図られているのでしょうか。

フィアット500のリアシート
リアシート

突然ですが、ここで豆知識。
現行の3代目チンクエチェントは、もともとは3+1人乗車のクルマとして発表されました。
3代目の原案となったのが、2004年のジュネーブモーターショーで発表されたコンセプトカー「トレピウーノ (Trepiúno)」。
“Trepiúno”とはイタリア語で「3+1」を意味しており、
スポーツカーなどでしばしば見られる乗車人数表記「2+2」をもじったものです。
(運転席と助手席は通常の座席だが、後部座席はサイズ上補助的な役割であることを示しています。)

助手席を前進させることで助手席後方の座席を大人でも座れるサイズとする一方、
運転席後方の座席は補助席と位置づけた (+1) アイデアでした。

この流れでリアシートも見てみましょう。
身長168cmの私がリアシートに座ると、意外にも膝前はそれなりに余裕があります。
今回は運転席後方の座席に1時間ほど座って移動してみましたが、
チンクエチェントはハッチバックボディなので天井も比較的余裕があり、
特段疲れることはありませんでした。

ドアは2枚なので乗り込みこそ少し大変ですが、大人4人乗車でも短時間ならば乗り切れそう。
かわいい見た目の割に優秀です。

フィアット500のトランク
機内持ち込みのスーツケースならば2〜3個、
大きめのスーツケースならば1個というイメージ。

最後にトランクを拝見。
写真は、機内持ち込みのスーツケースを積んでみたところ。

リアシート使用時のトランク容量は185L。
もちろん少なめの部類ではありますが、常時4人乗車でなければ後部座席も荷室として使えますから、
普段遣いには問題ないでしょう。

この頃からデュアロジックは走って楽しい。

フィアット500のロゴ
ダッシュボードに配置されたチンクエチェントのロゴ。

フィアットのAT機構といえば、デュアロジック。
その走りはどのようなものなのでしょうか。

結論から話すと、やはり楽しく操ることができました。
特にMTモードを使用するとエンジンの吹け上がり音が心地よく、
良い意味でスピードが出すぎないことも相まって「機械を操縦している感」を味わえます。

一方で前述の通り、ATモード使用時も変速ショックは少し大きめ。
でも、それが余計にアトラクション感覚を盛り上げてくれて楽しいですよ。

総評

フィアット・500

イタリアの名車、フィアット 500。
評価をまとめると以下のようになります。

STRENGTH

  • 随所に散りばめられたポップなイタリアンデザイン
  • 極小ボディながら実用的なリアシート・トランク
  • 走って楽しいデュアロジック

WEAKNESS

  • ちょっとプラスチッキーなインテリア
  • どうしても目立つ外装の痛み (高年式車ならではですが…)

大きくデザインが変わっていないため、年式に関わらず古さを感じさせないチンクエチェント。
中古車価格もお手頃なので、あなたの相棒にしてみては?

スペック

メーカー  フィアット | Fiat
モデル 500
グレード 1.2 ポップ (2009年式)
ボディサイズ 全長3,545×全幅1,625×全高1,515mm
ホイールベース 2,300mm
車両重量 980kg
エンジン 1,240cc 直列4気筒エンジン
最高出力 51kW(69ps)/5,500rpm
最大トルク 102Nm(10.4kgm)/3,000rpm
トランスミッション 5速AT
駆動方式 FF
燃料 無鉛プレミアムガソリン
WLTC燃費 不明
トランク容量 (後部座席利用時) ※ 185L
価格 (税込) 195万円〜
メーカーサイト (税込) https://www.fiat-auto.co.jp/500/

※トランク容量はVDA法

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