3列目シートはどうやって出す? 7人乗りミニバンのエース、トヨタ シエンタをレビュー。

トヨタ・シエンタ

2022年8月、トヨタは3代目となる新型シエンタ (MXP1#G型) を発表しました。
初代を彷彿とさせる丸みを帯びたヘッドランプ、おしゃれなパステルカラーなどが印象的ですが、
旧モデルとなってしまった2代目も魅力いっぱい。

今回は2代目シエンタ (XP17#G型) を画像とともにレビューします。

INDEX

タクシーからキャンプ仕様まで、すっかりお馴染みのエクステリア。

トヨタ・シエンタのフロント
フロント

エクステリアから見ていきましょう。
シエンタの全幅は1,695mm。
これはコンパクトカーであるトヨタ ヤリスとまったく同じ。
7人乗りサイズでありながら、取り回しのしやすいボディサイズとなっています。

ちなみに試乗車のカラーは「ブラックマイカ」。
標準的なブラックですが、どことなく車高が低くスマートに見える気がします。

トヨタ・シエンタのサイドビュー
サイドビュー

こちらはサイドビュー。
ミニバンのサイドビューは単調になりがちですが、
ドア下部からリアに向かって流れるラインが良いアクセントになっています。

トヨタ・シエンタの後部座席
後部座席

リアのドアは電動スライドドア
開口部が広く、人の乗り降りや荷物の積み下ろしがしやすいことが魅力的ですが、
駐車場でお子様が勢い余って隣の車にドアパンチ…なんてリスクも防止できる装備ですね。

トヨタ・シエンタのスライドドアのスイッチ
スライドドアのスイッチ

ドアを電動で開けるには、キーを持参した状態でドアのスイッチを押すか、

トヨタ・シエンタの電動スライドドアのスイッチ
電動スライドドアのスイッチ

運転席横のスイッチからも開閉することができます。

トヨタ・シエンタのリア
リア

リアビュー。
テールランプはクリアレンズになっていてエクステリアを引き締めています。
遠目で見ると人の顔にも見える、親しみやすいデザインですね。

標準的なボディの割に、容量たっぷりのインテリア。

フロントシート

トヨタ・シエンタの運転席
コックピット

続いて内装を見ていきましょう。
まずは運転席まわりから。

グレード「G Cuero」および「G」の場合は、本革巻きステアリングが装備されます。
ステアリングスイッチはハンドルの右側のみで、マルチインフォメーションディスプレイを操作するものでした。
近年のクルマに比べるとステアリングスイッチは少なめかもしれません。

トヨタ・シエンタのメーター
メーター。
中央にはマルチインフォメーションディスプレイが備わる。

シエンタのメーター類は、ダッシュボードの隙間というスリムな空間に配置されています。
最初こそ「随分不思議なところに配置したものだ」と感じたのですが、
実はよく考えられた配置でした。

というのも、この配置のおかげで運転中に大きく目線を落とさずともメーターを視認できるから。
またステアリングとメーターの重複部分も少なく、視認性も良好。

参考: トヨタ ヤリスの運転席

例えば上記のヤリスのメーターと比べると、違いがわかりやすいかと思います。
こうした通常のレイアウトの場合、運転中にメーターを視認するために大きく視線を移動させなければなりません。
それに比べてシエンタのレイアウトならば、最小限の目線移動でメーターを確認できるというわけ。

トヨタ・シエンタのシフトノブとエアコン
シフトノブとエアコン

続いてセンターコンソールを見ていきましょう。
シフトノブはナビの下に配置されています。エアコンはその隣。
こちらも、グレード「G Cuero」および「G」は本革巻きシフトノブとなっています。
エアコンのダイヤルもステンレスチックな造形でで高級感が感じられます。

また左の方にある出っ張りはフックになっており、ちょっとした手提げ袋などを引っ掛けられる仕様。
やはり普段遣いするクルマにはこうした配慮があると嬉しいですね。

トヨタ・シエンタのエアコン
エアコン

グレード「G Cuero」および「G」にはオートエアコンが装備されています。
ディスプレイは小さめで、運転中に視認するのは難しいかもしれません。

トヨタ・シエンタのフロントシート全貌
フロントシート全貌

センターコンソールについて少し気になった点を挙げると、運転席と助手席の間に収納ボックス等がないこと。
フロントシートとリアシート間のアクセスを重視したと思われますが、
スマホなどのちょっとした小物を置くスペースに困ってしまいました。

トヨタ・シエンタの助手席収納

代わりに、助手席にはグローブボックスとは別に収納を備えています。
このようにかなり大型です。
開口部の形が少し特殊なので雑誌類は入らないかもしれませんが、使い方を考えれば便利に使えそう。

トヨタ・シエンタのグローブボックス類
グローブボックス類

ちなみに前述の収納とグローブボックスの間にはトレーがあり、
スマホや駐車券といったスリムなアイテムを一時的に置くのに便利でした。

リアシート

トヨタ・シエンタの後部座席
後部座席

続いて、シエンタのリアシートを見ていきましょう。
スライドドアは開口部が広く、狭い駐車場でも乗り降りがしやすいです。
また大型の荷物の積み下ろしがしやすいので、キャンプなどにも◎

トヨタ・シエンタの2列目シート
2列目シートに座った感じ

身長168cmの私が2列目のシートに座ると、膝前の余裕はこのような感じ。
大分余裕があり、長時間でも快適に移動できそうです。

しかしシエンタは7人乗りということもあり、3列シート構成。
パッと見る限り2列目シートしかありませんが、3列目シートはどのように使うのでしょうか。
これからご紹介いたします。

3列目シートを出す方法・トランクの広さ

トヨタ・シエンタの後部座席
2列目シートを跳ね上げたところ。
折りたたまれた3列シートが見える。

上記画像を見ていただくとわかりやすいですが、
シエンタの3列目のシートは2列目シートの下に折りたたまれています。
そのため3列目シートを利用するためには、以下のようなステップを踏みます。

  1. 2列目シートをたたむ・跳ね上げる
  2. たたまれた3列目シートを引っ張り出す
  3. たたまれた3列目シートを立ち上げる

引き続き以下でご紹介します。

1. 2列目シートをたたむ・跳ね上げる

トヨタ・シエンタの2列目シート
2列目シートを折りたたんだ状態

まずは2列目シートをたたんで跳ね上げます。
文字に起こすと大変そうに聞こえますが、ダンパーが効いているので非常に簡単です。

シート横のレバー (画像中央部) を引くと
背もたれが倒れる→シートが持ち上がる ところまでワンタッチ操作で完了します。
人によっては片手でも操作できるほどの力しか必要としません。

トヨタ・シエンタの2列目シート
2列目シートを跳ね上げた状態

シートを跳ね上げた状態がこちら。
2列目シートは左右で分割されるので、同じ操作を左右両方のドアから実施します。

トヨタ・シエンタの後部座席
先程の画像と重複するが、2列目シートを跳ね上げた状態のトランクの様子。
完全にフラットではないが、広大なスペースが出現する。

ちなみに2列目シートを跳ね上げた状態だと、トランクはこのような様子。
折りたたまれた3列目シートがあるためフルフラットではないですが、
広大なスペースが出現します。

もし車中泊をする場合はマットなどを敷くと快適に過ごせるかもしれません。

2. たたまれた3列目シートを引っ張り出す

トヨタ・シエンタの3列目シート
3列目シートを引っ張り出した状態

さて、続いてたたまれた3列目シートを引っ張り出します。
上記写真はすでに引っ張り出した状態。

シートの背もたれ部分裏側に取っ手がついているので (上記画像中央あたり参照)、
取っ手を掴んで車両後方に向けてシートを引っ張り出します。
この作業には少し力が必要になります。

3. たたまれた3列目シートを立ち上げる

トヨタ・シエンタの3列目シート
3列目シートの背もたれを立ち上げる

いよいよ最後です。
たたまれた3列目シートを立ち上げます。
ヘッドレスト横にあるレバーを引っ張りながら背もたれを起こします。

トヨタ・シエンタの3列目シート
立ち上がった3列目シート

これで3列目シートが使える状態になりました。
正直にいうと、一連の作業を毎日実施するのは厳しいかもしれません。

2列目・3列目シートは左右に別れているので各2回作業する必要がある上、
正しく作業しないとシートがつっかかり、うまく展開・収納できなくなってしまいます。

また3列目シートに乗り込む際は、前述の手順で2列目シートを跳ね上げる必要があります。

トヨタ・シエンタの3列目シート
3列目シートに座った感じ

ちなみに身長168cmの私が3列目シートに座ると、膝前の余裕はこんな様子。
あまり隙間はありません。
大人にとっては緊急用、またはお子様用のシートと考えたほうが良さそうです。

トヨタ・シエンタのトランク
3列目シート使用時のトランク

ところで展開が面倒だからといって常に3列シート構成にしておけばよいかというと、
そうでもないかもしれません。

3列目シート使用時は、トランクがかなり狭くなります。
奥行きは雑誌1冊分ほどしかなく、買い物袋程度しか載せられないサイズ。
多くの人にとってこのサイズのトランクは使いづらいはずなので、
基本的には2列シート構成で利用するのが現実的かもしれません。

そう考えると、シエンタは7人乗りと言っても「5+2人乗り」というイメージが近いかも。
常時3列シート・7人乗りを希望する場合は、もうワンランク大きいサイズのミニバンがおすすめです。

優秀な荷室容量の割に、取り回しは簡単。

トヨタ・シエンタのヘッドライト
ヘッドライト

さて、走行編に移ります。

運転してみると、外観のイメージの割にはキビキビとした走り。
特にアクセルを踏み込んだ際のレスポンスは良好で、
どっしり・ゆったりといったミニバンらしい走りではなく、コンパクトカーと大差ない走りと感じます。

トヨタ・シエンタのフロント
フロントエンブレム

またミニバンの割にボディサイズが小さいため、シティライドも難なくこなせそう。
前述の通り全幅はヤリスと同じなため、両側にクルマが停まっている駐車場に停めるのも簡単。

一方で最小回転半径は5.2mと、ミドルサイズSUVと同じくらい。
ボディは小さめですが、切り返しが必要になる場面はあるかもしれません。

総評

トヨタ・シエンタ

今回はトヨタのロングセラー、2代目シエンタをレビューしてみました。
まとめると、総評は以下の通りです。

STRENGTH

  • 積載性の高さの割に非常にコンパクトなボディ
  • 意外なアクセルレスポンスの高さ
  • (試乗車がミドルグレードだからというのもありますが…) 所々高級感が感じられるインテリア

WEAKNESS

  • 3列目シート展開作業の手間・3列目シートの狭さ
  • フロントシート周りの収納の少なさ

「3人家族だが、たまにはお友達一家も乗せて一緒にキャンプに行きたい」
「自立した子供が帰省した際は5人家族で使いたい」
シエンタはこうしたニーズにぴったりマッチするクルマだと思います。

ミニバンの中では手が出しやすい価格で、コンパクトカーと大差ない取り回しのしやすさ。
家庭用や事業用に多様されるのも納得ですね。

スペック

メーカー トヨタ | Toyota
モデル シエンタ
グレード G (2020年式)
ボディサイズ 全長4,260×全幅1,695×全高1,675mm
ホイールベース 2,750mm
車両重量 1,320kg
エンジン  1,496cc直列4気筒エンジン
最高出力 80kW(109ps)/6,000rpm
最大トルク 136Nm(13.9kgm)/4,400rpm
トランスミッション CVT
駆動方式 FF
燃料 無鉛レギュラーガソリン
WLTC燃費 17.0km/L
トランク容量 (後部座席利用時) ※ 不明
価格 (税込) 210万7,000円〜
メーカーサイト (税込) https://toyota.jp/sienta/

※トランク容量はVDA法

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