時たま街で見かけるホンダの軽スポーツカー・S660。
このクルマには先輩がいることはご存知ですか?
「先輩」とは、ホンダが1991〜1996年まで生産していた軽自動車・ビートのこと。
S660と同じで軽のオープンタイプのクルマでした。
発売から30年以上経過した今でも愛好家がいるビートですが、
その後輩たるS660の実力やいかに。
ホンダらしさ×カワイイなエクステリアは、まさに令和版ビート!
まずは外装チェックから。
ローアングルで写真を撮ってみたのですが、短い全幅ながらワイド&ローなシルエットを実現していることがわかります。
そのため全高はなんと1,180mm。
大人の腰くらいの高さしかありません。
フロントフェイスは、近年のホンダが採用しているブーメラン型の顔つき。
しかしヘッドライトは先代ビートをリスペクトしてか、長方形らしい形になっていますね。
続いてリア。
こちらもブーメラン型のテールランプが装着されています。
S660はミッドシップレイアウトを採用しているため、エンジンは後方に搭載されます。
エンジンカバーは運転席・助手席の後方部分で盛り上がっており、スポーティなエクステリアに仕上がっています。
試乗車のボディカラーは「プレミアムビーチブルー・パール」。
生産中盤から廃盤となってしまったカラーのようですが、原色カラーは海辺のオープンカーにピッタリ。
ヤシの木も合わさって、まるでマイアミにいるかのような気分です。(本当は木更津です。)
S660の醍醐味・オープン状態を楽しんでみましょう。
通常のオープンタイプと異なり、S660はリアウィンドウを残して屋根だけを取り外す「タルガトップ」形状。
オープン時でもボディラインがあまり変わらず、風の巻き込みや騒音が少ないことが特徴です。
屋根を開けるのは手動。
次の3ステップで開けていきます。
1. センターコンソール上部のロックを解除
2. 左右サイドのロックを解除
3. サイドから屋根を巻き取る
まずはセンターコンソール上部のロックを外して…
続いて、左右のドア上部のロックを外します。
これで屋根が取り外せるようになりました。
サイドから屋根をくるくる巻いていきます。
屋根は、分厚い幌に支柱が合わさっており、重さは約8kg。
少し重いですが、巻き上げたら屋根を持ち上げて…
ボンネット内部の収納ボックスに入れておきます。
巻き上げた幌の大きさにピッタリ!
ちなみにS660にリアトランクはないため、荷物を収納できるような場所はこちらのみ。
この収納ボックスも走行中は温度が上がるため、食料品などを入れるのはオススメできません。
したがって、2名乗車時はほとんど荷物が乗らないということになります。
コンパクトながら、ドライバー優先のコックピット。
続いては内装。
インテリアは運転席を囲むように構成されており、まるで戦闘機のコックピット。
こうしたところからも、S660はまさに趣味車・ドライバーズカーという感じですね。
メーターは中央にデジタルスピードメーター&タコメーターを備える形。
スピードメーターのフォントも近未来的でかっこいい。
よく見ると意外とアナログな箇所も多いのですが決して安っぽくなく、アナログとデジタルがきれいに融合しています。
ステアリングは高級感のある革巻き。
オーディオやクルーズコントロールも操作可能で、ボタン類も充実しています。
関係ないですが、赤色のエンジンスタートボタンもインテリアに馴染んでいますね。
試乗車では、運転席横に2つのディスプレイが装着されていました。
上のディスプレイは純正オプションの「センターディスプレイ」。
オーディオ情報やバックカメラ映像のほか、上記画像のようなGメーター表示も可能です。
タッチパネルではなく、サイズは6.1インチですが解像度も低め。
ただしHDMI端子もあるようで、幅広い使い方ができそうです。
下のディスプレイは後付ナビです。
試乗車はPanasonicのゴリラナビが装着されていました。
スリムなセンターコンソールには、ミニマムな操作ボタン類が並びます。
ちなみに先述したセンターディスプレイは、ハザードボタン下のスイッチで操作します。
シフトノブも革巻き。
車両価格を考えればある意味当然ですが、こうした気分がアガるインテリアは嬉しいポイント。
趣味性が高いクルマなだけに、特別感もほしいですよね。
運転してみて
今回は2日間クルマをお借りして、約200kmほど走ってきました。
(運転者2名で交代交代で運転したため、総走行距離は約450km)
印象を一言で表現すると、「スパルタン」。
スポーツカーの試乗がほぼ初めてだったこともありますが、
車内からだとプリウスさえもSUVに見える、S660の車高の低さは衝撃的でした。
一方でワインディングロードや高速道路での安定性は高く、
人馬一体な感覚を楽しむことができました。
一方で、慣れるまでは長時間の運転はなかなかハード。
下半身をピンと伸ばすようなドライビングポジションのため姿勢の調整が難しく、
慣れるまでは疲れがたまりやすいかも。
今回試乗したS660のトランスミンションはCVT。
しかし「SPORTモード」なるマニュアルモードが備わっており、パドルシフトでの変速を楽しめます。
さらによい意味でエンジン性能は控え目なので、街乗りでも高回転まで楽しむことが可能。
それもそのはずで、S660に搭載されるエンジン「S07A」は、初代N-BOXや初代N-ONEに搭載されているエンジンと同型。
そう聞くとパワー不足な気もしますが、高速道路や坂道といった通常の使い方では全く問題なし。
むしろ安全圏でドライビングを楽しむために、あえてこのエンジンを採用したのではないでしょうか。
総評
今回はスパルタンな軽オープン、S660に試乗しました。
総評としては以下のようになります。
STRENGTH
- 安全な速度で楽しく運転できる「ちょうどいい」エンジン
- 先代ビートから受け継いだルックス
- ドライバー優先・戦闘機のようなインテリア
WEAKNESS
- 収納力の乏しさ
頻繁に大人2人が乗車するような使い方は限られるかもしれませんが、
週末のサブマシンや趣味車としては最高ではないでしょうか。
しっかりと先代ビートのスピリットを受け継いでいましたね。
スペック
メーカー | ホンダ | Honda | |
モデル | S660 | |
グレード | α (2015年式) | |
ボディサイズ | 全長3,395×全幅1,475×全高1,180mm | |
ホイールベース | 2,285mm | |
車両重量 | 850kg | |
エンジン | 658cc水冷直列3気筒エンジン | |
最高出力 | 47kW(64ps)/6,000rpm | |
最大トルク | 104Nm(10.6kgm)/2,600rpm | |
トランスミッション | CVT (マニュアルモード付き) | |
駆動方式 | MR | |
燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
WLTC燃費 | 20.0km/L | |
トランク容量 (後部座席利用時) ※ | – (トランクなし) | |
価格 (税込) | – (新車販売終了) | |
メーカーサイト (税込) | https://www.honda.co.jp/auto-archive/s660/2022/ |
※トランク容量はVDA法
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[…] 【試乗記】ホンダ・S660 (2015) こんにちは、久しぶりの試乗記です。今回はオープン × MR × […]