ヒョンデ アイオニック5に試乗。その名の通りラウンジのようでした。

「ヒュンダイ」と聞くと、どんなイメージがあるでしょうか?
日本人の多くは「韓国の自動車メーカー」程度の印象しかないかもしれません。
しかし、それはもう時代遅れのイメージかも。

ヒュンダイは2009年に日本試乗から撤退していますが、2022年にEVや燃料電池車に特化する形で再参入。
法人の呼称も世界統一で「ヒョンデ」と変更し、新しいスタートを切っています。

今回は、そんなヒョンデ初のEV専用車種「アイオニック 5」をご紹介します。

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デザインテーマは「パラメトリックピクセル」。直線を多用した近未来的なエクステリア。

全幅は1,890mmとかなり幅広。
コンパクトカーのようなボディフォルムだが、サイズはSUV並みだ。

アイオニック 5のデザインテーマは「パラメトリックピクセル」。
デジタル領域の最小単位であるピクセルをテーマに据えており、EVが担う近未来への期待感が高まるデザインです。

ところで車名の一部になっている「アイオニック (IONIQ)」とは、ヒョンデのEV専用のブランド名のこと。
パラメトリックピクセルはアイオニックブランド共通のデザインテーマです。

全長4,635mmに対して、ホイールベースは3,000mm。
ボディのほぼ両端にタイヤが配置される。

サイドから見ると、ボディ全体にも直線が多用されていることがわかります。
いかにも最先端のクルマという印象を受けますが、実はこのデザインのルーツは約50年前に遡ります。
アイオニック 5のルーツとなっているのは、1975年に発売された「ヒョンデ ポニー」。
韓国初の独自開発車であるポニーは、韓国自動車界のシンボルなのかもしれません。

ちなみにヒョンデ ポニーをデザインしたのは、ランチア デルタやデロリアンも生み出したイタルデザイン・ジウジアーロ。アイオニック 5が直線的なデザインになるのも納得ですね。

今回試乗したグレード「Lounge」の車両重量は1,990kgとなかなかの重量。

リアランプにもピクセルが多用されており、まるでモーターショーから抜け出してきたかのようなデザイン。
もちろんLEDランプなので視認性も良好です。

サステイナブル素材を活用しつつも、ラウンジのような上質な空間。

シートは本革だが、植物性オイルを活用して加工されている。

アイオニック 5のインテリアは上質そのもの。
どんな服装・シチュエーションにもマッチするアースカラーを採用している上、バイオ塗料やペットボトルから創られた繊維など、サステイナブル素材も活用。
CO2を排出しないEVだからこそ、徹底して地球に優しいクルマを体現しています。

インテリアのスイッチ類はメタル調の加工がされており、全体的に高級感がある。

インテリアで特に目を引くのは、コックピットに搭載された2つの12.3インチディスプレイ。
日中は白、夜間は黒を基調とした一体感のあるUIで構成され、インテリアに統一感を与えます。

イマドキの液晶メーターは夜間でも見やすく快適。左側がスピード、右側がバッテリーの利用状況を示しています。
フロントガラスにヘッドアップディスプレイも投影されるため、運転中の視認性は抜群です。

ナビゲーション画面も大型で、助手席からも操作がしやすいです。
車両に関するほとんどの操作がこの画面から可能な上、後部座席のみオーディオを停止する「後部座席スリープモード」や、波の音や暖炉の音が楽しめる「自然の音」といったユニークな機能も搭載。

ビジョンルーフは固定ガラス。チルトアップやオープンはできない。

今回試乗したグレード「Lounge」および最上位グレード「Lounge AWD」には、フロントシートからリアシートにかけての大型サンルーフ「ビジョンルーフ」が装備されます。
ルーフから日光が射し込むだけで室内空間がぱっと明るくなり、自然と気分も高まりそう。スイッチ1つで開閉できる点も魅力的です。

通常のトランクのほか、ボンネット内部にも57Lの「フランク」を搭載。
ちょっとした荷物であればフランクにも積み込める。

アイオニック 5のトランク容量は527LとミドルSUV並み。ショッピングやキャンプにも問題なく活用できそうです。
もちろんパワーゲート搭載なので自動開閉できますが、キーを持ってボディ後方で3秒以上待機すれば自動オープンする機能も搭載。両手に荷物がある際でもラクラク積み込めます。

走行性能は問題ナシ。課題となるのはボディサイズとナビゲーションか。

EVらしく、アイオニック 5の加速は文句なし。
最大トルク350Nmを発生させるモーターを搭載しているので、アクセルを踏み込めばEVらしく滑るように加速し、日常使いではまず十分でしょう。

ハンドルの動きもなめらかで、大柄なボディながらスムーズに操ることができました。
一方でアルファードよりも大きい全幅1,890mmは少々慣れが必要かも。路駐の追い抜きや住宅街の小道などでは多少神経を使いました。
ただし、アイオニック 5はそのサイズを意識してかカメラ装備が充実。ウィンカーを出すとサイドミラー下の映像が表示されるため、慣れてしまえば幅寄せなどはかえって簡単かもしれません。

今回の試乗で最も気になったのはナビゲーション。
基本的なルート案内はできるものの、「右側3車線を通行してください」と言うべきところを「右です」と表現してしまうなど、ミスリーディングな案内が多かったです。
このあたりのソフト面は今後のアップデートなどで改善されることを期待します。

総評

日本市場に再上陸したヒョンデのフラッグシップ・アイオニック 5は、ブランドの新章を担うにふさわしい洗練されたモデルでした。今回の総評を以下にまとめました。

STRENGTH

  • 過去と未来を融合させた独創的なエクステリア
  • EVらしい力強くスムーズな加速
  • サステイナブル素材を多用しつつ、高級感あふれるインテリア

WEAKNESS

  • 細い道路だとやや神経を使う全幅の大きさ
  • 発展途上なナビゲーション

ブランドの呼称も変更して新スタートを切ったヒョンデ。
コンセプトをそのまま詰め込んだデザインと上質なインテリアを特徴とするアイオニックブランドの今後に、期待が高まります。

今回ご紹介したアイオニック 5は、個人間カーシェアリングサービス「エニカ (Anyca)」でも利用可能。
次のドライブのお供として、試してみてはいかが?

スペック

メーカー ヒョンデ | Hyundai
モデル IONIQ 5 (アイオニック5)
グレード Lounge (2022年式)
ボディサイズ 全長4,635×全幅1,890×全高1,645mm
ホイールベース 3,000mm
車両重量 1,990kg
モーター 交流同期電動機
最高出力 160kW(217ps)/4,400~9,000rpm
最大トルク 350Nm(35.7kgfm)/0~4,200rpm
トランスミッション 1段変速機
駆動方式 RR
燃料 電気
WLTC燃費
トランク容量 (後部座席利用時) ※

527L

(ボンネット内にも57Lのトランクが存在)

価格 (税込) 559万円〜
メーカーサイト (税込) https://www.hyundai.com/jp/ioniq5

※トランク容量はVDA法

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