本当に「ヤリス」? トヨタ ヤリスクロスを徹底レビュー。

トヨタ ヤリスクロス

日本が世界に誇るコンパクトカー 「ヤリス」。
小回りが効いて超低燃費。それでいて先進装備満載の優等生であることは周知の事実。
では「ヤリスクロス」は? ヤリスファミリーの名にふさわしい仕上がりになっているのでしょうか?
今回も写真たっぷりでレビューします。

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コンパクトながらしっかりSUV。BABYハリアーのようなエクステリア。

トヨタ・ヤリスクロス
フロント

まずはエクステリアから。
うっすらとツリ目がちなヘッドライトから、どことなくヤリスらしさを感じます。
一方でグリルはキーンルックと程遠い独特な形状で、良い意味でトヨタらしくない。
エンブレムがなかったらトヨタ車とわからないかもしれません。

トヨタ・ヤリスクロス
リア

続いてリア。
流行りの横一文字テールランプがなんとも今ドキのクルマという印象。
コンパクトSUVながら、リアから見るとしっかりと車高が確保されていることがわかります。

ヤリスクロスは、全長4,180×全幅1,765×全高1,590mm 。
トヨタの現行ラインナップで比較すると、ライズより大きく、C-HRより小さいというサイズ感。
「ちょっとSUVらしく、それでいてコンパクトカー」というイメージでしょうか。

トヨタ・ハリアーのリア
トヨタ ハリアーのリア

ところで、ヤリスクロスのテールランプはハリアーに似ています。
こうして写真を比べると、傾いたリアガラスと一直線に伸びるテールランプがなんともそっくり!
一回り小さいヤリスクロスは「BABY ハリアー」とでも呼べそうです。

トヨタ・ヤリスクロス
リアは絶壁

真後ろからのルックスはハリアーそっくりですが、
ヤリスクロスのテールゲートは絶壁になっています。 (一方のハリアーはテールランプが張り出している)
デザイン性は劣りますが、天井が低い駐車場でもトランクを開けやすいのはこちらでしょう。

ちょっと気になったのは、テールゲートの形の問題なのか力が入りづらく、閉めづらかったこと。
何度か半ドアになってしまいました…

ミニマムながら遊びココロを忘れないインテリア。

トヨタ・ヤリスクロス
フロントシート

続いてはインテリア。
全体的なデザインは近年のトヨタ車と共通です。
試乗車はベースグレードなので全体的にプラスチック素材が多く使われており、正直あまり高級感はありません。
良くも悪くも日本車らしい、という感じです。

トヨタ・ヤリスクロス
メーター

インテリア最大の見どころはこちらのメーター。
タコメーターとスピードメーターが立体的に独立しているデザインで、近未来的なフォントも特徴的。
ヤリスでは上位グレードのHybrid Z / Hybrid G / Z / Gがこのメーターを採用していますが、
ヤリスクロスはベースモデルでも採用。太っ腹です。

トヨタ・ヤリスクロス
コンパスも選択可能。使う人いるのでしょうか?

左右のメーターの間にはマルチインフォメーションディスプレイを搭載。
特段珍しい機能はありませんがディスプレイのベゼルがうまく隠れており、古臭さを感じさせません。

トヨタ・ヤリスのメーター
メーター

一方でこちらはヤリスのメーター。
良く言えばシンプルですが、悪く言えば一昔前のデザインに見えてしまいます。
メーター背景とディスプレイの色が大きく異なるため、はめ込み感も感じられます。

トヨタ・ヤリスクロス
ステアリング

さて、ヤリスクロスに戻ります。
試乗したグレード「X」では、おなじみの3本スポークのウレタン製ステアリングが採用されます。
(上位グレードのHybrid Z / Hybrid G / Z / Gは本革巻き仕様)

トヨタ・ヤリスクロス
7インチディスプレイ

センターコンソールには7インチのディスプレイと、

トヨタ・ヤリスクロス
エアコン

エアコンが配置されています。
ベースグレード「X」のガソリン車のみダイヤル式エアコンを搭載。
さすがに古臭さは否めませんが、これはこれで走行中にも使いやすいというメリットも。
(「X」のガソリン車以外のグレードでは、ディスプレイ付きオートエアコンを装備)

トヨタ・ヤリスクロス
シフトノブ

シフトノブはヤリス同様に必要最低限という感じで、シンプルかつ無骨。
(Hybrid Z / Hybrid G / Z / Gでは本革巻き仕様)

ちなみにサイドブレーキは嬉しい電子ボタン式でした。

トヨタ・ヤリスクロス
リア開口部

続いてはリアシート。

気になってしまったのは、リアシートのドア開口部。
最大限開いてもこれしか開きません。
全長が短いためもともとリアシートの足元は狭めなのですが、
ドア開口部の狭さも災いしてなかなか乗り込みにくい…

せめてもう少しドアが大きく開けばよいのですが、なにか理由があるのでしょうか?

トヨタ・ヤリスクロス
リアシートの余裕

リアシートに座ってみました。
身長168cmの私が座ると、フロントシート背面まで5cmくらい余裕があります。

トヨタ・ヤリスクロス
トランク

ヤリスクロスのトランク容量は390L。
上位モデルのC-HRの容量は318Lだったので、それよりも大分余裕があることになります。
シートを上げた状態だと荷室の長さは820mmです。

トヨタ・ヤリスクロス
シートを倒した状態

シートを倒してみました。この状態だと1,102Lの容量があります。
荷室幅は1,400mm、荷室高は732~850mm (デッキボードの高さにより変動) です。

トヨタ・ヤリスクロス
リアシートがフロントシートに引っかかる

ちなみにフロントシートを標準的な位置にセットした状態でリアシートを倒すと、
画像のように干渉してしまいました。
全長が短い小型SUVの持病とも言えるかも知れませんが、
頻繁にリアシートを倒す人は少々面倒に感じてしまうかも。

控え目。でもちょうどいい走行性能。

トヨタ・ヤリスクロス
ヘッドライト

今回は約30kmにわたって試乗してみました。
感想としては、「良くも悪くもSUVらしくない」。

トヨタ・ヤリスクロス
スピードメーター

今回試乗したグレード「X」は、ヤリスのガソリンモデルと共通のエンジンを搭載。
同じエンジンを積んでいながらヤリスよりも約100kg重いこともあってか、
SUVらしい力強いトルクはあまり感じられませんでした。
(ドライブモードもノーマル / ECO / PWRと3種類搭載していますが、モード間の差もあまり感じられず…)

トヨタ・ヤリスクロス
車名ロゴ

でも、ヤリスクロスの位置づけを考えるとこれがちょうどいいのかもしれません。
ゴリゴリのオフロードを楽しみたければ、RAV4やハイラックス、ランクルなどいくらでもラインナップがあります。
一方で上記のハイスペックSUVはデカイし、高い。

用途としては週末にキャンプやコストコに行く程度。
コンパクトカーでは荷室が足りないけれど山程荷物を積み込むわけではないし、
走行するのはほとんど舗装路。

そんな層にとっては「いつ使うかわからない装備」よりも
「普通のクルマ+αだけど低価格」のほうがきっと価値がある。
トヨタの開発者はきっとこんな事を考えたのではないでしょうか?

総評

トヨタ・ヤリスクロス

今回はトヨタのコンパクトSUV ヤリスクロスに試乗しました。
良くも悪くも気取らず乗れるSUVなので、
ライトなアウトドアユーザーやファミリー層におすすめしたい1台です。

STRENGTH

  • コンパクトながらSUVらしいルックス
  • その一方で、普通車と変わらない取り回しのしやすさ
  • お手頃な価格設定

WEAKNESS

  • リアシートのドア開口部の狭さ
  • ヤリスと共通のエンジン

週末のキャンプやお出かけに、気軽に使えるコンパクトSUV、ヤリスクロスのご紹介でした。

スペック

メーカー トヨタ | Toyota
モデル ヤリスクロス
グレード X (2021年式)
ボディサイズ 全長4,180×全幅1,765×全高1,590mm
ホイールベース 2,560mm
車両重量 1,110kg
エンジン  1,490cc 直列3気筒エンジン
最高出力 88kW(120ps)/6,600rpm
最大トルク 145Nm(14.8kgm)/4,800〜5,200rpm
トランスミッション CVT
駆動方式 FF
燃料 無鉛レギュラーガソリン
WLTC燃費 20.2km/L
トランク容量 (後部座席利用時) ※ 390L
価格 (税込) 189万6,000円〜
メーカーサイト (税込) https://toyota.jp/yariscross/

※トランク容量はVDA法

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【試乗記】トヨタ・ルーミー (2021) - オーバーステア へ返信する コメントをキャンセル

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